リノベーション業者選びのポイントSuppliers point

リノベーション業者を長年にわたり見てきた私が、発注者であるユーザーにとってメリットがある業者選びをお伝えします。

以前は選んでよい業者はほとんどいませんでしたが、昨今は大手中心に頼りがいのある業者が数社出現しています。

しかし、500万円以下の請負であればリノベーション事業者になる為の参入障壁が法的には一切なく誰がやっても良いという法になっています。(此処が悪徳リフォーム業者の温床になっています)。多くのリフォーム・リノベーションの工事は確認申請も不要で建築士の資格が無くても設計が出来ます。また、業者は中小が多くユーザーは業者の倒産リスクと背中合わせの選択になります。広告に惑わされることなく確りした目での業者選びが必要です。

建築産業就業者の年齢構成 50代以下が減少、高齢者が増加
学歴別建設業者新規入職者数の推移

施工においても職人任せの会社が殆どで、職人の腕により出来栄えが大きく変わってきます。このような業界の実態の中でもリノベーションをするには大金を投じなければなりません。満足のいくリノベーションをしようとすると、極めて高いリスクと隣り合わせになる事が現実です。

リノベーションは、住宅設計経験が豊富で住宅の性能をよく理解した設計者(建築士)が設計し、技術力がある施工店と腕の良い職人がいて初めて良い家が完成します。

しかし、新築ばかり設計しリノベーションの知識が無い建築士が多く、施工側も工務店数の減少、職人の高齢化と職人人口の減少で、このような構成が中々成り立ちにくいのも事実です。

雨後の筍のように出現しているリフォーム事業者には、経験未熟や素人の設計者も多く、お寒い現状の中でフォーム・リノベーションの請負がされています。

ユーザーはリフォーム雑誌の広告に惑うことなく業者と設計者を選び、ユーザー自身が積極的に関与する必要が有ります。

担当する社員の質Suppliers point

発注者が叶えたい真意を理解し、提案と実現ができるか否かが前提です。
その素養があるか否かの見極め方を幾つかのポイントで説明します。

ポイント 1:仕事への取り組み方

顧客の真意を理解し、プロとしての立場でアドバイスができるか。
この見極め方は、ユーザーの話を最後までしっかり聞き、メモを取っているか、
ユーザーの真意を確認すると共にその評価と対案を出せるか否かで分かります。

ポイント 2:やはり資格が重要

インテリアコーディネーター、キッチンスペシャリストなど色々な資格が建築を取り巻く環境には存在しますが、やはり、一級建築士の資格に勝る資格は有りません。

建築士資格の取得には幅広い建築知識と実務経験が必要です。また、資格をベースとして多くの経験を積めるからです。

ポイント 3:担当者の実績と失敗が多い

手掛けた件数が多いほど、多くの失敗をします。
どんな失敗をし、どうやって克服したのかを語れる担当者であるか否かで力量が分かります。

ポイント 4:住まいに関する知識は豊富か

デザインやプランを考えるのは誰がやっても楽しくユーザーと担当者の会話が最も弾むプロセスでもあります。
しかし、プロと称するものは、ユーザーが住まい続ける器としての住まいを造り込んでおく役割があります。
つまり、ユーザーの暮らしが快適に、安全に、健康に、心地よく暮らしていける器をつくる事が最も重要なのです。
これを計るには下記の点を確認する事で分かります。

  1. 知識内容として、住生活の基本法規となる品質確保促進法(品確法)の中に10項目の性能等級があります。
    この知識を持ち、その中に記されている性能等級を実現させる方法を知っているのか。
    またユーザーの住戸において実現させる提案をできるか否かで確認します。
    但し、トレードオフの関係にある性能項目もあるので全ての項目で高い等級を得るのは無理です。
  2. 快適な生活を提供するための給排水の知識、電気配線の知識、インターネット設備の知識は必須ですが、知識を持つ担当者は多くはありません。
    配管配線の耐用年数やリノベーション後の漏水事故防止の配慮についての質問、インターネット環境整備について的確な答えを持ち合わせている事の確認が必要です。
  3. 平面計画(プラン)はユーザーが最も興味を示すところですが、ここでも落とし穴があります。
    ユーザーの生活スタイルは変わり続けます。
    プロを称する者は、今、10年後、20年後の生活スタイルを見据えた提案が出来るか否かが重要です。
  4. その他で必要な知識は、仕上材性質、家具や備品の寸法など、生活に密着した事項のポケットがどれだけあるかで資質を確認できます。

ポイント 5:社会人としての質

1.レスポンスの早さ
顧客は用事があるので担当者に連絡をします。担当者からは1時間以内にレスポンスが出来る事が必要です。
2.打合せの記録を残し、発注者と共有している。
これは、トラブルとして最も多い「言った、言っていない」を防止する為の手段ですが、実行できない担当者が多い為です。

会社の問題Suppliers point

ポイント 1:大手だから良いとは限らない。

大手数社は組織もアフターも確りしていて割高であっても安心して依頼が出来ます。
しかし、売上げ至上主義でユーザーの顔を向いていない大手事業者や、担当者間の技術力差が大きい場合もあるので安心して任せっぱなしにしないことです。

ポイント 2:古い躯体にどれだけ価値を上げられる会社か

リノベーションは新築ではありません。

1.新築ではないから施工した分だけ失敗がある。
失敗した事の履歴が社内に残っていて社内で共有化出来ているのか?
その失敗経験を新規ユーザーに活かされているのかを確認します。
施工件数が多くても、共有化されていなく履歴も残っていない会社は、クレーム垂れ流し会社なのでNGです。
2.入居後のトラブルが発生する確率は極めて高い。アフター体制が整備されている会社を選びます。
引き渡した後、どれ位の不具合が出ているのか、どの程度の内容なのかを確認します。
0である事はあり得ません。

ポイント 3:見積をきちんと出せるのか

ユーザーは見積もりが正しいのか否かを判断しづらいものです。相見積もりを取っても見積り項目自体が業者によって異なるので比較が出来ません。これを解消するには、不明な点を詳しく聞くことと一式見積りの内容を開示してもらうことです。出来れば材料と工賃を分離した見積もりを作成してもらいユーザーが正しく判断できる内容を示してもらうことも必要です。

ポイント 4:下請けと職人任せにしていないか

この会社はきわめて多いです。下請けへの発注はやむを得ないとしても、
自社の施工管理者が現場管理をする体制がある業者でなければなりません。
但し、人件費の関係上1人の監督が複数の現場を持つことになります。
また、施工標準図等を用意し職人に遵守させている会社を選びます。

ポイント 5:施工現場を見に行くと施工の良し悪しが分かります。

この時に納まり等の詳細に目が行きがちですが確認するポイントは以下の点です。

  1. 緊急時連絡先が明示されているか
  2. 玄関の外に汚れ拭きマットが置かれ、通路養生がきちんとされているか
  3. 職人は上履きを履いているか
  4. 整理整頓がされているか、空き缶など塵が落ちっていないか。
  5. 現場での挨拶がされているか
  6. 近隣の人が嫌な顔をしていないか

以上のようにポイントを挙げてくると本当に業者も担当者もいないものだとなって来ますが、
大事なことはユーザー自身が重点ポイントの優劣をつけ、拘るポイントを明確にすること、ユーザー自身が積極的に関与することです。
これから先も業者の新規参入と淘汰は激しく進むと予測されます。しっかりと自分の目で確認し業者選びをすべきだと考えます。

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